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からから
梱包材などで見かける発泡スチロールの緩衝材。その造形は、箱と商品の隙間を埋める為だけに作られた健気さと、不規則でありながら歪な造形物としての彫刻的魅力を帯びている。
「からから」は、発泡スチロールの緩衝材を鉄板で囲い、溶接で密封した作品。その過程で加わる高熱により内側の発泡スチロールは収縮し、硬い樹脂の塊となる。体積の98%が空気という発泡スチロールの存在の希薄さは、内側から発せられる“からから”という音により、以前にはなかったはずの物質的なリアリティを帯び始める。実在感とは、そこに在る(居る)と想う私たちの心の作用によって大きく補強され、またその不確実性に対する心の在り方こそが、人間らしさに関わる重要なファクターといえるのかもしれない。
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